車のボディについた鉄粉をボディ表面を傷つけずに簡単に除去することができる鉄粉除去クリーナー。
使ったことがある方は認識されているかもしれませんが、一度吹きかければ車のボディ表面の全ての鉄粉を除去してくれるわけではありません。
管理人は自分の愛車を実験台として、一体何度鉄粉除去クリーナーを吹きかければ車のボディについた鉄粉を除去できるのか調べました。
このページでは、この実験結果をご紹介したいと思います。
車のボディには目に見えない鉄粉がたくさん!
皆さんはどれくらいの頻度で車の洗車をしてますか?
毎週!という綺麗好きな方もいれば、洗車はしない!雨が降ればきれいになるさ!という方もいらっしゃるかも知れません。
車のボディについた水アカや泥は目で見えるので、汚くなってるなーというのがすぐ分かります。洗車をすれば汚れもすぐに落ちます。
一方でシャンプー洗車しただけでは落ちないのが車のボディに突き刺さった鉄粉です。
鉄粉?うちの近くには鉄工所とかないし、鉄粉が出る環境がないから大丈夫というのは勘違いです。
鉄粉は主に車のブレーキダストなので、道路を走行すればどんな車でもボディに鉄粉は付着しますし、幹線道路に面したところにお住いの方は特にこれが顕著になるのです。
ボディに付着した鉄粉をそのままにしておくと、時間が経過するにつれて腐食が進行しボディの塗装層から、ボディの母材にまで達してしまいます。
このため、定期的に車のボディに付着した鉄粉は除去してやるようにしましょう。
鉄粉除去クリーナーによる鉄粉除去のメカニズム
車のボディについた鉄粉を除去するには、ねんどを使う方法もありますが、
鉄粉を吸着したねんどでボディをこすることになるので、ボディに細かい傷が入るのは避けられません。
一方、鉄粉除去クリーナーは化学反応で鉄粉を溶かして浮かしてくれるので、ボディに傷をつける心配がありません。
鉄粉除去クリーナーを使ったことがある方はご存知だと思いますが、鉄粉除去クリーナーを車のボディに吹きかけると、鉄粉が反応して紫色になって落ちていくのが分かります。
こんな感じです。
鉄粉除去クリーナーのメカニズムを理解しておいた方が効果的に使うことができます。
鉄粉除去クリーナーが鉄粉を除去できるのは、主成分であるチオグリコール酸アンモニウムのおかげです。
チオグリコール酸アンモニウムというのは、チオグリコール酸をアンモニアで中和したものです。
チオグリコール酸TGA(Thioglycolic Acid、HS-CH2-COOH、メルカプト酢酸とも言う)はその名の通り酸性の液体で、刺激臭を示す無色の液体です。
「還元性」と言われますが、酸化した物質から酸素を奪う性質を持っているので、鉄粉(赤サビ)から酸素を奪って通常の鉄に戻すことができます。
これにより、赤サビの状態でボディ表面に付着している鉄粉を除去することができるのです。
チオグリコール酸だけでは強い酸でボディにも人体にも有害なため、アンモニア(アルカリ性)で中和してチオグリコール酸アンモニウムとして使うのです。
鉄粉(酸化鉄)と鉄粉除去剤が反応するときの化学反応式は以下です。赤サビはヘム鉄(2価:FeO)または非ヘム鉄(3価:Fe2O3)として存在していますが、いずれに対しても還元反応を発揮してくれます。
Fe2O3+6(HS-CH2COO–NH4+)→2Fe(S-CH2COO–NH4+)3+3H2O
FeO+2(HS-CH2COO–NH4+)→Fe(S-CH2COO–NH4+)2+H2O
なお、酸化していない鉄には反応しないので、ボディや鉄のホイール、シャシーに悪影響を与えることはありません。
ちなみに、パーマをあてたことがある方にとっては鉄粉除去剤のにおいをかいだ時に気づかれるかもしれませんが、鉄粉除去剤の主成分であるチオグリコール酸アンモニウムは毛髪のコールドウェーブ用薬品としても使われています。
パーマに使う際には、髪の主成分ケラチン蛋白質に含まれるシスチンをを還元して切断する(蛋白質を分解)効果を使っています。
使った鉄粉除去クリーナーはコスパ抜群のカーメイト「水アカ鉄粉シャンプー」
さて、車のボディについた鉄粉除去クリーナーは世の中にたくさん出回っていますが、今回管理人が使ったのはカーメイトの水アカ鉄粉シャンプー(CARMATE C48)です。
管理人も過去に、価格の高いものから低いものまで何種類もの鉄粉除去クリーナーを試しましたが、結局、目に見えた効果の違いが確認できませんでした。
例えば、鉄粉除去剤のうち価格が高い部類に入る商品として、Keeperの「コーティング専門店の鉄粉クリーナー ボディ用 KeePer I-06」がありますが、こちらは容量300mlで1600円もします。
管理人の使ったカーメイトの「水アカ鉄粉シャンプー」は750mlも入って700円ほど。100mlあたりの値段はKeeperの製品の1/5程度です。
鉄粉除去効果はもちろん問題ないですし、管理人の愛車(白の輸入車)のボディにトラブルが生じたこともありません。
ボトルに入っていてそのままでは使いにくいため、スプレーボトルに入れ替えて使用します。
鉄粉除去クリーナーを使う前に高圧洗浄機で汚れを落とす
鉄粉除去クリーナーを使うタイミングは、シャンプー洗車で汚れを落とした後という派閥とシャンプー洗車で汚れを落とす前という派閥がいますが、管理人は後者です。
前者の場合は、おそらく汚れを落としてからの方が溶剤が鉄粉にダイレクトに到達するからと考えているからだと思われますが、シャンプー洗車の際にムートンやスポンジでこすった際に鉄粉が剥がれてボディを傷つける可能性があるので、管理人はシャンプー洗車の前に鉄粉除去剤を使うことにしています。
鉄粉除去剤の後にシャンプーすることで、鉄粉除去剤を完全に取り去りたい、という理由もありますが。
[管理人の洗車の手順]
- 高圧洗浄機で表面の汚れを吹き飛ばす
- 鉄粉除去剤で鉄粉を落とす(その後、水洗い)
- シャンプー洗車
- コーティング(バリアスコート)
- 拭き取り
と、いうことで、まずは高圧洗浄機(ケルヒャー)でボディの汚れを落とします。
鉄粉除去剤を繰り返し施工して効果を確認
さて、ここからが本番です。
鉄粉除去剤を何回繰り返せば鉄粉を完全に除去することができるのか確認するため、鉄粉除去剤を繰り返し車のボディに施工していきます。
管理人は以下の作業を繰り返しました。
- 鉄粉除去剤の塗布
- 10分放置
- 色の変化を観察(写真撮影)
- 高圧洗浄機で洗い流す
塗布部分は車のボディのうち最も鉄粉が付着しやすい車の後部です(走行時に空気の流れを巻き込みやすいため)。
塗布1回目
それでは、鉄粉除去剤を塗布していきます。
塗布して10分経過した時点での写真がこちら。
写真全体に亘って紫色の筋ができています。
ちなみに管理人は月に一度鉄粉除去クリーナーを使っているので、程度はそこまでひどくありません。
塗布2回目
高圧洗浄機で洗い流したあと、再度鉄粉除去剤を噴射して10分待ちます。
この状態の写真がこちら。
1回目に比べると、紫色の点や線の数が減っているのがわかります。
しかしながらまだ紫色の筋が目立ちます。
塗布3回目
さて、塗布2回目の鉄粉除去液を高圧洗浄機で洗い流してから3回目の塗布を行い、10分待ちます。
このときの状態が以下の写真。
1回目に比べれば紫色の点や線の数はだいぶ減りました。でもまだ太い線や比較的大きな紫色の点が確認できます。
鉄粉はほんと頑固です。
塗布4回目
さて、いい加減落ちろやとブツブツ言いながら塗布4回目です。
10分待った後の写真がこちら。
いかがでしょうか。
よく見れば小さな紫色の筋がちらほら見えますが、かなり鉄粉は少なくなってきました。
塗布5回目
結果が見えてきましたが、引き続いて塗布5回目です。
10分後の写真がこちら(ここまで1時間くらい作業しています。管理人の暇さがバレますね。。)
相変わらずちらほらと小さな紫色の筋がみえますが、4回目とほとんどかわらないような状態です。
これ以上続けても目に見えた変化はなさそうだったので、ここで実験を打ち切りました。
結論:鉄粉除去クリーナーは1回でも効果大。繰り返す場合も2~3回で十分。
さて、鉄粉除去クリーナーを噴射しては10分待ち、高圧洗浄機で洗い流すという作業を延々と繰り返した結果、鉄粉除去クリーナーの推奨使用回数の答えが見えてきました。
鉄粉除去剤塗布1回目と2回目の写真を見比べて頂くとよく分かりますが、鉄粉除去クリーナーを1回使うだけでもボディ表面に付着した鉄粉をかなりの割合で除去できます。
これは、1回目の塗布でボディの表面もしくは塗装面のごく表層に付着しているたくさんの鉄粉が除去されたからだと思われます。
ここで取れなかったもう少し深いところまで達している鉄粉が2回目、3回目で取れ、さらに残っているカスのような鉄粉が4回目、5回目もだらだらと反応していたのだと思われます。
ということで、管理人が出した結論は、鉄粉除去クリーナーは1回でも効果が大きいということです。もっと落としたいということで塗布を繰り返すことも有効ですが、2回か3回繰り返せば十分でそれ以上塗布してもあまり効果はないと思われます。
なお、管理人は月に一回程度の頻度で鉄粉除去クリーナーで鉄粉除去していますので、数か月に一回、もしくは鉄粉除去したことがない、という方は、4~5回繰り返してもなかなか鉄粉が取れない、という状況になるかも知れません。管理人のおすすめはまめに鉄粉除去剤を使うことです。
こうすることで、付着した鉄粉のさびが塗装面深くまで進行して除去しにくくなるといったことが回避できると思います。
まとめ
- 鉄粉除去剤は1回使うだけでも効果大
- 1回の洗車で複数回繰り返すよりも、鉄粉除去の頻度を上げてサビの進行が軽度な段階で除去するのがおすすめ
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